猫の慢性腎不全のお食事について



猫の代表的な疾患である慢性腎不全とは?
ここ数年で急増した感がある猫の慢性腎不全。猫の死因で最も多いと言われています。特に高齢の子に多く、15歳以上の高齢の子に限っては3頭に1頭は慢性腎不全であると言われています。ですが、個人的な見解ではもっと多いのでは無いかと思っています。なぜなら隠れ腎不全の子が非常に多いからです。そもそも慢性腎不全であるかどうかは病院で検査をしないと分かりません。しかし、猫は性格上の問題などで病院に連れて行く事が困難な子も少なくはありません。野良猫出身で飼い主様ですら触る事が出来ない子もいます。そのような子を病院に連れて行く事は非常に難しく、そのような子も含めますと3頭に1頭どころでは無い気がします。慢性腎不全の代表的な症状としましては、多飲多尿がありますが、最も重要なのは尿の色と臭いです。健康な腎臓によって作り出された尿は色が濃く臭いもきついです。しかし、働きが弱くなった腎臓によって作り出された尿は老廃物を上手く排泄する事が出来ず、色が薄く臭いも弱いです。また、体重の減少や毛並みの割れ(毛割れ)も慢性腎不全によくみられる症状です。




少しでも慢性腎不全が気になりだしたら!
もしかしてうちの子も慢性腎不全では?と疑いがあれば、まずはすぐにでも腎臓病対応のフードをご利用ください。そして必ず病院で診察をお願いします。しかし残念ながら、通常の血液検査では腎機能の75%が失われた段階で無ければ明確な診断がくだせない事もあり、慢性腎不全の診断がくだされた時点では既に末期の状態である事も珍しくありません。ですので、通常の血液検査で「異常無し」と診断がくだされたからと言って安心は出来ません。日常の症状を見てご心配の場合は、慢性腎不全の早期発見が可能なSDMA検査を受けられる事もご検討ください。尚、結果的に検査で異常が見つからなかったとしても腎臓病対応のフードをご利用いただく事に問題はございません。メーカーによっては腎臓病対応のフードで栄養制限が施されているが故に、総合栄養食の基準を満たしていない製品もございますが、当店が取り扱います腎臓病対応フードは健康状態に問題が無い場合でも、通常食(予防食)としてご利用いただく事が可能な内容になっております。慢性腎不全が気になる際は、まずは腎臓病対応のフードに切り替え、一定期間与え続けた結果のご愛猫の体調を観察してください。また、10歳以上の子でシニア用をご利用中であれば、腎臓病対応フードを試しておいたり、混ぜて与えても良いかも知れません。予防として完全に腎臓病対応フードに切り替えても問題はありません。




よくある間違った水分のとらせ方!
慢性腎不全について調べていると、あちこちに「出来るだけ多くの水を飲ませてください」と書かれています。もちろん間違いではありません。腎臓の機能が低下していると言う事は、老廃物を排泄する効率が悪くなっていると言う事です。効率が悪い分、尿量を増やして少しでも多くの老廃物を排泄したいので、水分の摂取量を増やす事は非常に大切な事です。しかし、人間であれば1日に●●リットル飲もう!と自分の意志によって水分摂取量をコントロールする事が可能ですが、猫はそんな簡単にはいきません。元来、お水をあまり飲まない猫に、たくさんの水を飲ませようとしても無理な話です。そこでよくある間違いが、「味のついた水を飲ます」と言う行為です。例えば、鶏肉や魚の茹で汁や、野菜スープなど。水分が摂取出来ても余計な栄養まで摂取してしまいます。また、味のついたお水を飲む事によって、腎臓病対応のフードを食べなくなる事も少なくありません。水分の摂取量が増えたとしても、腎臓病対応以外のフードを食べて余計な栄養を摂取していては完全に支離滅裂です。ですので、お水を無理に飲まそうとはしないでください。苦手な子もいてるとは思いますが、水分量の多いウエットフードを使用したり、ドライフードをふやかすなどをして水分摂取量を増やしてください。それが無理なら、主治医に相談してご家庭で皮下点滴をする手段もございます。くれぐれも味のついた水を飲まして水分摂取量を増やそうとする事はしないようにお願いします。そして、「うちの子は全然水を飲んでくれない。。。」とお思いの場合も、意外と水分を摂取している事もあります。それは水分はお皿に入ったお水を飲まなくても食べ物からも摂取しているからです。ドライフードでも10%の水分が含まれますし、ウエットフードなら80%も水分が含まれています。必要な水分量はしっかりと摂取出来ているかもです。あまり気にし過ぎない方が良い場合もあります。ご注意ください。