全年齢対応のフードについて考えてみました!
全年齢対応のフードは大丈夫?
ドッグフードもキャットフードもひと昔前は「子犬用」「子猫用」・「成犬用」「成猫用」・「高齢犬用」「高齢猫用」と必ず分かれていました。そしていつの頃からか「全年齢対応」と言うフードが登場しました。でも当初は「全年齢対応」と記載されていても「成犬用」「成猫用」と捉える方が多かったように思います。やはり成長期には「子犬用」「子猫用」を与えないと不安に思ったり、高齢期には「高齢犬用」「高齢猫用」を与えないと体に負担が掛かるのでは無いかと心配に。ですので結局、成長期には「子犬用」「子猫用」を、高齢期には「高齢犬用」「高齢猫用」をお選びになられて、それ以外の時期は「成犬用」「成猫用」「全年齢対応」をご利用になられる方が多かったように感じます。それが徐々に「全年齢対応」のフードが増えてくる事によって、皆さん慣れてこられたのか、成長期や高齢期にも「全年齢対応」のフードを選ぶ方が増えたように感じています。それでは実際に「全年齢対応」のフードは本当に全年齢に適しているのか考えていきましょう。
そもそも誰が基準を作っているの?
「全年齢対応」を考える前に、そもそも「子犬用」だとか「成猫用」の基準って一体どこから来てるかご存知ですか???実は基準はあって無いようなものです。一応昔からAAFCO(全米飼料検査官協会)の基準は参考にされてきました。ですが、あくまでも参考にしているだけで、基準に沿わないといけないわけではありません。また、AAFCO(全米飼料検査官協会)が定める基準自体が、例えばたんぱく質含有量で言うと、子犬用が22.5%以上で、成犬用が18.0%以上と、正直どのようなフードでも満たしてしまうような基準です。ですので、「子犬用」や「成猫用」の基準は各メーカーが勝手に定めているもので、メーカーによって考え方は様々です。その為、「全年齢対応」のフードの内容(栄養成分値)もメーカーによって全然違います。
年齢に見合ったフードで無くても大丈夫!
上で書いたように「子犬用」や「成猫用」などの基準は各メーカーによって全然違います。結果、A社の「子犬用」とB社の「成犬用」が同じような成分値であったり、C社の「成猫用」とD社の「高齢猫用」が同じような内容である事も決して珍しくありません。ですので、成長期に成犬用を与えてはいけない事はありませんし、成猫に高齢猫用を与えてはいけない事もありません。成長期に「成犬用」を与えたからと言って栄養が不足する事もありませんし、高齢期に「成猫用」を与えたからと言って栄養過多になるとも限りません。実際に、当店では結石予防を目的に若い子に高齢期用のフードをご利用いただいているケースも多いです。「若いのに高齢期用で大丈夫?」と思われる方も多いですが、結石予防用の療法食は高齢期用のフードよりも栄養価が低いです。少しでも栄養をしっかりと摂取して結石を予防していただきたいので、様子を見ながら結石用から高齢期用に切り替えていただくようにしています。ですので、若い子が高齢期用を食べたり、成長期の子と高齢期の子が同じフードを食べても大丈夫と言う事です。もちろん量の調節は必要ですが。
気をつけて欲しいのは成長期よりも高齢期!
「成長期の子と高齢期の子が同じフードを食べても大丈夫」と書きましたが、どんなフードでも大丈夫と言うわけではありません。特に気にしていただきたいのはフードのたんぱく質含有量です。例えば、たんぱく質含有量が20%の「高齢犬用」のドッグフードを成長期の子が食べても問題はありません。しかし、たんぱく質含有量が30%の「子犬用」のドッグフードを高齢犬が食べると内臓に負担が掛かります。猫の場合も、たんぱく質含有量が30%の「高齢猫用」のフードを成長期の子が食べても問題ありませんが、たんぱく質含有量が40%の「子猫用」のフードを高齢猫が食べると内臓に負担が掛かります。このように成長期の子が「高齢期用」のフードを食べても大丈夫ですが、逆はおすすめ致しません。ですので、「全年齢対応」のフードをご利用いただく時は、若い子に大丈夫かを考えるよりも、高齢期の子にとって問題が無いフードか否かを見極める事が大切になります。また、出来ればフード選びは、「●●用」や「●●対応」などで選ぶのではなく、我が子にとって最も適した成分値(たんぱく質:●●%など)はどの程度かを把握しておいて選ぶ方が失敗は少ないと思います。